MONOVATEでは吸引ろ過容器【QR-100M】と加圧ろ過容器【PR-FP】という二つのろ過容器をラインナップしています。
その名のとおり、この2機種の違いはろ過の方式が異なる点にあります。それを含め、この2台にはどのような違いがあるのか、この記事でご説明します。
【違い1】 ろ過方式・精度と設備
一つ目の大きな違いは「ろ過方式」です。
その名のとおり、下記のように方式が異なります。
- 吸引ろ過容器【QR-100M】:吸引ろ過(減圧ろ過)
- 加圧ろ過容器【PR-FP】:加圧ろ過
この違いにともない、必要になる設備も異なります。
- 吸引ろ過容器【QR-100M】:真空ポンプ
- 加圧ろ過容器【PR-FP】:エアー設備
QR-100Mはポンプと接続し、容器内の空気を抜くことによってホッパー内に投入した材料をろ過します。ホッパーを外しヘルール部を閉止すれば、簡易的な真空脱泡にもお使いいただけます。
一方、PR-FPはあらかじめ設置する施設内にエアー設備が設けられている必要があります。本容器とその設備とを接続し、エアーを供給することによって、容器内に投入した材料をろ過する方式です。
【違い2】フィルター
フィルターには下記の違いがあります。
- 吸引ろ過容器【QR-100M】:100メッシュのキャッチネット(標準仕様)
- 加圧ろ過容器【PR-FP】:ろ紙(標準仕様)
標準仕様の場合、それぞれ上記のフィルターを使用します。
そのため、PR-FPでは都度ろ紙を用意する必要があるのに対し、QR-100Mではろ紙を用意する必要はないものの、都度フィルターを洗浄する必要性があります。
ろ紙よりも100メッシュのキャッチネットのほうが目は粗いので、果汁の種を取り除くなど、ろ過の速度を速めたいような目的の場合にはQR-100Mが適しています。
一方で、ろ紙を使用してより細やかなろ過のできるPR-FPは、化学・化粧品などの製造現場にて、何かを強制的にろ過したいような場合に適しています。ただし、ろ紙の粗さが適当なものでない場合には、ろ紙が裂ける可能性もありますので注意が必要です。
【違い3】ろ過面積
ろ過面積は、一度に投入できる量やろ過に要する時間などに影響してきます。
- 吸引ろ過容器【QR-100M】:小さい(標準仕様で約18cm^2程度)
- 加圧ろ過容器【PR-FP】:大きい(標準仕様で379~754cm^2程度)
QR-100Mはろ過面積が小さいので、特に液体に対して固体の量が多い場合には、一度に投入する量を調整する必要があります。場合によっては目詰まりしてしまう可能性もあるでしょう。ろ物が少ないものに適しています。
PR-FPは比較的大きいろ過面積となっているため、ろ物の目詰まりを防ぎながらスムーズなろ過を行えます。ろ物が多くても安心してお使いいただけます。
【違い4】投入・排出方法
ろ過したい材料の投入方法と、ろ液をどのように排出するかにも違いがあります。
- 吸引ろ過容器【QR-100M】:ホッパーから連続投入→蓋を開けて排出(受け容器内に一度貯蔵)
- 加圧ろ過容器【PR-FP】:バッチ投入→容器下部から排出
QR-100Mはホッパーから材料を連続投入できます。ろ過時にホッパーと容器との接続部を閉止する必要もないので、連続してホッパーに投入することが可能です。ただし、ホッパーに接続されている容器の中に受け容器があり、そこにろ液が排出されるので、連続してろ過できる量は受け容器の貯蔵可能量までとなります。
一方、PR-FPはバッチ投入になります。ろ過時は投入口を閉止する必要があるため、QR-100Mのように連続投入はできません。排出は容器下のヘルールから排出されるので、ホース接続をして別の設備等にそのまま供給することができます。
まとめ
この記事でご説明した違いをまとめると、以下の表のようになります。
違い | 吸引ろ過容器 | 加圧ろ過容器 |
---|---|---|
ろ過方式 | 吸引ろ過(減圧ろ過) | 加圧ろ過 |
設備 | 真空ポンプ | エアー設備 |
フィルター | 100メッシュのキャッチネット | ろ紙 |
ろ過面積 | 小さい | 大きい |
投入・排出方法 | 連続投入→受け容器に排出 | バッチ投入→下部ドレンから排出 |
まずは、取り扱う材料が加減圧により変質しないかを確認します。それにより加減圧のいずれにより影響がある場合(影響を許容できない場合)には、その影響が出ない方式のものを選択します。
いずれの影響も問題がない場合には、ろ物の量で検討します。ろ物が多い場合、QR-100Mでは目詰まりを起こしてしまう可能性があるので、PR-FPのほうが適しているといえます。また、設置予定の施設にエアー供給設備があるかどうかも、選定を左右するでしょう。
ろ過容器の選定にお悩みの場合には、お気軽にお問い合わせください。最適なろ過容器の選定をサポートいたします。
また、お客さまのご要望をもとに、オーダーメイドで製作することも可能です。今回ご紹介した製品をベースに製作するのはもちろん、ニーズに合わせた形で一から設計・製作することもできます。まずはお客さまのご要望、いまの課題感をお聞かせください。