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技術コラム

ステンレス容器ってRoHS指令に関係あるの?
2017/12/05 09:00

「RoHS指令」「RoHS指令対応品」という言葉、一度は聞いたことがあるかもしれません。
弊社でも「ステンレス容器はRoHS指令に対応しているか?」「証明書はあるか?」というお問い合わせを頂くことがあります。
RoHS指令はどういったもので、ステンレス容器とどのような関係があるのでしょうか。

この記事を読むべき方
  • RoHS指令とは何かについて知りたい方
  • ステンレス容器がRoHS指令の対象になっているか知りたい方
  • RoHS指令に適合しているかの保証書が必要な方

RoHS指令(欧州RoHS)とは?

RoHS指令のRoHS(ローズ)は「Restriction of Hazardous Substances」の略で、2006年に施行された、電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についてのEU(欧州連合)による指令です。
2011年に改正されたため、現在では「改正RoHS指令」「RoHS2指令」とも呼ばれています。
それ以前のRoHS指令(旧RoHS)は2013年に廃止されました。

目的

EU内の埋め立て場や焼却施設では鉛などの有害物質による地下水の汚染等が問題となっており、ほとんど前処理されずに埋め立て・焼却されている電子・電気機器に含まれる有害物質が問題視されました。
特定有害物質を含む電子・電気機器の販売を防止することで、環境への悪影響を防止する目的で作られました。

対象


除外品もあり一概にはいえませんが、おもちゃから医療機器まで様々な電気製品が対象となっています。
ステンレス容器は対象に書かれてはいません。

適用国

基本的にはEU加盟国に向けた指令ですが、欧州経済地域(EEA)などEUの法規則を原則的に受ける枠組みの加盟国、RoHS指令と同等内容の法令を制定している国へも適用となるようです。

RoHS指令における規制物質と閾値

RoHS指令は、特定有害物質の含有量を閾(しきい)値以下に規制する指令であり、規制する物質全てを含有してはいけないということではありません。
しかしRoHS指令に完全に対応していなければ、適用国内に製品を出荷することができません。

規制物質と閾値

規制物質は下記1~6の6物質と、2015年にフタル酸の4物質が追加され、合計10物質となっています。
※追加制限物質の4物質の適用は2019年7月以降。
閾値(=限界値)がとても重要になり、カドミウムが厳しい数値となっています。

規制物質とその閾値

1. 鉛及び鉛化合物 1000ppm以下  
2. カドミウム及びカドミウム化物 100ppm以下  
3. 水銀及び水銀化合物 1000ppm以下  
4. 六価クロム化合物 1000ppm以下  
5. PBB:ポリ臭化ビフェニル 1000ppm以下  
6. PBDE:ポリ臭化ジフェニルエーテル 1000ppm以下  
7. DEHP:フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) 1000ppm以下 ※適用は2019年7月以降
8. BBP:フタル酸ブチルベンジル 1000ppm以下 ※適用は2019年7月以降
9. DBP:フタル酸ジブチル 1000ppm以下 ※適用は2019年7月以降
10. DIBP:フタル酸ジイソブチル 1000ppm以下 ※適用は2019年7月以降

RoHS指令の罰則

RoHS指令自体に罰則はありませんが、各適用国の国内法に罰則があります。
罰金や製品の回収、市場からの排除などの厳しい罰則となっているようです。

ステンレス容器とRoHS指令の関係

RoHS指令の対象には含まれていないステンレス容器。
ではどのような場合にRoHS指令に対応しているかの証明が必要となるのでしょうか。

適用国内に輸出するため

容器が機器の一部に組み込まれたり、機器と一緒に使われることがあります。
適用国内へ輸出したり、適用国内の工場等で使う場合に必要となることがあります。
RoHS指令は機器を構成する部品一つ一つについて規制物質の含有を閾値以下にしなければいけないため、機器にステンレス容器が組み込まれる場合は、ステンレス容器もRoHS指令対応品でなければいけません。

「環境や人にやさしい製品か」を判断するため

製品に環境負荷物質が含まれているか知りたい場合に、RoHS指令の規制物質と閾値を目安としたり、RoHS指令に対応している製品かどうかを購入の判断材料とする企業やユーザー様が増えてきました。
RoHS指令に対応している=環境規制に対応している製品という証明の1つとなっているようです。
このように日本においては、製品の安全性を証明するものの1つとしてRoHS指令が使われることがあります。

ステンレス容器の対応・非対応

弊社製容器の多くは対応しています

弊社のステンレス容器の多くはRoHS指令に対応していますが、使っている部品により非対応となっている容器もあります。特注製品については都度調査が必要となります。

非対応になる可能性のあるステンレス容器

下記は一例であり、この他の容器・部品もRoHS指令に非対応となる場合があります。

黄銅(真鍮)製の部品を使っている

黄銅に鉛を添加して切削性を向上させているので、含有量によってはRoHS非対応です。
黄銅に使われている亜鉛の不純物にカドミウムが含まれています。
※黄銅(真鍮)を使用している南京錠付密閉容器各種?/?蛇口付容器各種はRoHS非対応となっております。

メッキされた部品を使っている

メッキ時に6価クロムでクロメート処理されているものはRoHS非対応となります。

塗装された部品を使っている

塗料にカドミウムや鉛などを含有している場合があります。

(2019年以降)樹脂やゴムの部品を使っている

塩化ビニル樹脂(PVC)には可塑剤としてフタル酸が使用されている場合があります。
フタル酸は塗料や接着剤などの溶剤、ケーブル被覆、ゴム製品に含有している場合があります。
※密閉容器(CTH/CTL)に使われているシリコンゴムパッキンはRoHS対応となっています。
※現状の6物質でRoHS対応となっている製品でも、10物質となると非対応になる場合があります。詳細についてはお問い合わせください。

保証書の発行

お客様のご要望に応じて、製品における規制物質の含有量について調査し、有償にて保証書を発行しています。
特注加工部材や購入部品を使用している製品については、メーカーに問い合わせるため発行日数がかかります。
製品の梱包材についても提出いたします。

製品の例:CTH-21
クリップタイプのステンレスタンク
保証書の例

欧州RoHS以外のRoHS指令

EUだけでなく中国、アメリカ、韓国など多くの国で、各国が独自に規制内容を取り決めたRoHS指令があります。日本ではRoHS指令に関連するものとして資源有効利用促進法やJ-MOSSと呼ばれるJIS規格があります。

 

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各種検査・証明書類についても対応しています。

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